筧美和子 look.2

役に寄り添い、役に学ぶ
ポジティブな姿勢で女優業に打ち込む

女優・モデルと幅広く活躍の場を広げている筧美和子。自身の性格や私生活の話を聞いたLook.1に続き、Look.2では、これまでに訪れた転機や女優としての仕事観と今後についてインタビュー。

スポーティーなスタイルのLook.1から一変。アウターをそのままワンピースにデザイン、太いベルトでウエストをマークしたモード感のある着こなしで登場したLook.2。シルエットだけでなく、太いシューレースまでボリューム感たっぷりのスニーカーで、カジュアルダウン。子供っぽさはない、ワンランク上の大人カジュアルな装いに仕上げた。
「素材やディテールにメンズの要素がありつつも、形はワンピース。そのミックス感が私的にはすごくツボ。普段の自分に近いスタイルですね。スニーカーは、ボリュームはあるけど、無骨さはなくてモダン。私もこういうスタイルを楽しもうって思いました。」

近年女優として活躍する彼女の姿を目にすることが増えているが、今に至る転機があった。リアリティ番組『テラスハウス』への出演で一躍注目を浴びた彼女。出演したことで環境は大きく変わり、その分たくさんの人との出会いもあった。「これまでの人生の中で、一番の大きな波みたいな感じでした。テラスハウスに出ている時は、この仕事を続けていくことにまだ迷いもあったけれど、覚悟とはまた違う、仕事を楽しむことやもっと勉強したいという気持ちが芽生えたのもこの頃でした」

モデル活動などがメインだったが、だんだんと女優業も増え、どんな役柄も生き生きと演じてきた。中でも自信がついたと話す作品が映画『犬猿』での幾野真子役。姉妹設定の妹役、そして売れないグラビアアイドルという役は、自分とも重なる部分がたくさんあり経験や環境が役に活かせたと話す。「姉役はニッチェの江上敬子さんだったのですが、姉や事務所の人からいろんなことを言われるそのセリフが、まるで自分に言われているみたいにグサグサ刺さってきて。役と自分が一体になるという感覚がすごくありました。お芝居の経験もまだ浅かったので不安もありましたが、役を理解し演じたことで自信も付きましたし、もっと演じたいと強い思いが芽生えた作品でした。」

11月26日(金)公開の映画『幕が下りたら会いましょう』では、松井玲奈さんの妹役を演じている。この役では自分と重なるというより、共感できる部分があったと振り返る。「上京し就職して、東京で1人強く生きようと頑張っているけど、悩みや不安を抱え込んで、苦しくなっている面がある。大人になる過程で、強く覚悟を決める瞬間とか人生の節目みたいなことって誰しもにあると思うんですけど、同時に生まれる苦しみも理解できると思いましたね。自分に似ているかどうかは別として」

混在する複雑な感情を演じる繊細な役柄だった今作。劇中では初めてのダンスにも挑戦した。「泥酔するシーンやダンスなど体を張った演技がありました。中でもダンスは今回初挑戦。自粛期間中は、家で動画を見て練習する日々でした。もっと体を上手に使えるようになったら全身で演技ができる、演技の幅、表現の幅が広がるような気がして、とっても勉強になりました。」

作品を重ねるたびに、面白さや自分に足りないところが明確に見えていて、今お芝居することがすごく楽しいと充実感を覗かせる彼女に、今後挑戦してみたいことについて尋ねてみた。「お芝居の比重が増えてきたことで、他の仕事も楽しめるようになりました。これから先、色々な選択肢が出てくると思うけれど、自分の望むものに迷わず飛び込んで行って、何事も楽しみながら挑戦して、もっと魅力的な女優になりたいですね。」役柄に寄り添いながら、女優業に打ち込むことで、自分の中に新しい発見をしたり、演じるたびに学びがあると清々しい表情で未来を見つめる。


Direction : Shinsuke Nozaka
Photo, Movie : Yoshiaki Sekine (SIGNO)
Stylist : Kosei Matsuda (SIGNO)
Hair & Make-up : Masayoshi Okudaira
Text : Mai Okuhara

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